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【このページの目次】

対象者と前置き

初心者向けQ&A

エンコードに関する知識、情報など

設定例

配信テスト

視聴者はよ配信


注意
OBSやSCFFが生まれてから久しい現在において役に立つ情報はもうないと思います。
このページに掲載されている情報の多くは2008年(※)くらいが基準で、
「WME(Windows Media エンコーダ)」「SCFH DSF」という古いアプリケーションを前提に書いています。

(※)こういう年
●SCFH DSFが出た年
●Windows XPはメインストリームサポート期間
●Intel Core 2の時代
●ADSL利用者はまだまだ多い
●KTEもOBSもSCFFもない。EEはあったらしい


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対象者と前置き

「とりあえずまともに配信できる程度には知識があり、なおかつ
もっと高品質な配信を目指したい、あるいは高品質な配信に興味がある人」
を対象としています。

「ここはこういう設定にしましょう」という記述はいろいろなサイトで見かけますが、
なぜいいのか、どういう効果があるのかなどについてまで言及しているサイトはほとんどありません。
これでは応用が利かないので、自分の環境に合った設定を煮詰められません。

私より詳しい人もいることとは思いますが、WMEのヘルプを読んだり
テストを繰り返した結果に得られた、私なりの考え方を書いておきます。

私はヘルプ以外にはほとんど何も読んでいないので、専門的な知識はありません。
ですが、ヘルプと実際のテストから得られた情報を書いているので、少なくとも配信に関しては
間違ったことは書いていないと思います。

ちなみに、このページでは画質のことを鮮明さと同じ意味として書いています。


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初心者向けQ&A

解答や手段を書いているだけなので、知識として得られるものは多くありません。
詳しく知りたい人はもっと下を読んだほうがいいです。


Q:「ビデオビットレート」を上げずに画質を良くしたいです。

A:●「ビデオサイズ」を小さくする。
  ●取り込み対象と同じ「ビデオサイズ」にする(※)。
  ●「フレームレート」を下げる。
  ●「ビデオの滑らかさ」を上げる。
  ●「パフォーマンス」「プリセット」といった項目を高品質寄りに設定する。
  ●wmv形式での配信をやめる。
  があります。

 (※)
 画質は上がりませんが、小さな文字は「ビデオサイズ」を小さくするよりも
 このほうが基本的に見やすくなります。つまり、取り込み対象のフォントやウィンドウの大きさを
 小さくします。


Q:配信ビットレートはどのくらいまでなら大丈夫でしょうか?
  (配信対象に対する適当なビットレートではなく、使用可能ビットレートの上限という意味)

A:ご自身の回線速度に余裕があっても、ビットレートの合計は1Mbps以内にしておくことをおすすめします。
  ストリーミング配信において、あまりにもビットレートが高くなってしまうと
  受信しきれなくてまともに視聴できない人が出てくる可能性があります。

  ですが今日では、1Mbpsを超えるビットレートをおすすめしている配信サイトも多いですね。
  これは全く関係のない話になってしまうのですが、ビデオビットレートが1000Kbpsを超えると、
  「Windows Media Video 9」が「Windows Media Video 9 Professional」になる条件が
  一つ満たされるので、1Mbpsを超えるビットレートにすることをいとわず、なおかつ
  変わったことが好きな人は、ビデオビットレートを1000.001Kbpsにするのもいいかもしれません。
  (条件は全部で二つあって、残りの条件は画素数が300000を超えていること。640x480ならOKです)


Q:オーディオに割くビットレートはどのくらいがいいでしょうか?

A:配信内容によって使い分けるのが一番ですが、私は合計ビットレートの10%を目安にしています。
  合計ビットレートが400Kbpsなら、
  オーディオビットレート40Kbps+ビデオビットレート351Kbps+オーバーヘッド9Kbps
  ということですね。

  「最低でも64Kbpsはないと」といったビットレートに関する話はよく見ますが、
  私にはあまり違いを感じられなかったのでわかりません。
  音楽を聴かせることを主目的としていない、雑談やゲーム配信なら
  32Kbpsもあれば十分だと思っています。


Q:パソコン性能は低いですが、回線速度に余裕があります。おすすめの設定はなんでしょうか?

A:まず、ビデオコーデックを「Windows Media Video V7」にしてください。
  映像が粗く、激しい動きにも弱いですが、基本的には軽く、高い「ビデオビットレート」を割けるなら
  画質もあまり問題にならないと思います。
  ほかの設定は、画面を縮小しても高い「ビデオビットレート」によって
  文字が見えなくなるのを防ぐことを優先的に意識するといいです。
  配信対象によって違いはありますが、縮小しすぎるとどれだけ「ビデオビットレート」を割いても
  文字がつぶれてしまうことには注意します。


Q:パソコン性能に余裕はありますが、回線速度が遅いです。おすすめの設定はなんでしょうか?

A:まず、ビデオコーデックを「Windows Media Video 9」にしてください。
  画質が高く、負荷も安定しています。
  そして「パフォーマンス」を「高品質」寄りにしてください。ですが一番右は
  かなりのパソコン性能が求められます。テストもしながら、慎重に操作してください。
  ほかの設定は、「ビデオサイズ」をできるだけ等倍に近づけて
  文字が見えなくなるのを防ぐことを優先的に意識するといいです。
  取り込み対象と等倍なら低ビットレートでも文字が見やすいです。
  ただし、フレームの欠落には注意します。


Q:WMEに向いたパソコンはどんなパソコンでしょうか?

A:WMEは、ビデオ用に最大4つのプロセッサを使うことができます。
  裏を返すと、4つしかプロセッサを使うことができません。
  そのため少なくとも、WME以外の要素を考慮しないのなら
  プロセッサが8個あって一つ一つのクロック数が低いパソコンよりも、
  プロセッサが4個あって一つ一つのクロック数が高いパソコンのほうがWMEに適しています。

  ほかの要素は関係ないと思います。
  バッファサイズを大きくすると多くのメモリが必要になる程度です。


Q:配信に自分の名前や情報などを載せている人を見ます。どのようにすればいいのでしょうか?

A:「属性」から設定できます。


Q:キャプチャーソフトのプレビューの黒枠を消したいです。

A:クロップ機能を持っているキャプチャーソフトを使うのが一番ですが、
  SCFH DSFの「Drag here.」ではなく「範囲選択」で指定して取り込むことでも、
  黒枠を映さず配信できます。
  ただしこのやり方は黒枠を配信画面に映さなくするだけであって、黒枠自体は消えません。


Q:縦横比がおかしかったり、上下や左右に黒枠が出てしまいます。

A:WMEの「ビデオサイズ」の数値と、SCFH DSFに表示されている数値が等しいか確認します。
  ここが等しくないと縦横比が崩れたり、黒枠が出ます。
  等しかった場合、次にSCFH DSFの「レイアウト」を確認します。
  ここに映っている割合で配信されるということに注意します。
  枠いっぱいまでドラッグして伸ばしてください。

  WMEの「ビデオサイズ」の数値と、SCFH DSFに表示されている数値が等しくない場合、
  黒枠があってもよく、縦横比を直したいだけなら、SCFH DSFの「アスペクト比維持」に
  チェックを入れることで、配信を中断させずに縦横比を直せます。


Q:字幕が映りません。

A:SCFH DSFの「レーヤードウィンドウ表示」にチェックを入れることで映るようになります。
  字幕に限らず、「レーヤードウィンドウ表示」にチェックを入れることで大抵のものは
  映るようになります。

  ただし、「Windows Aero」のせいで映らなくなっている場合もあります。
  詳細を書くと「初心者向け」から外れてしまうので、下のほうにある当該項目をご覧ください。


Q:WMEの「ビデオサイズ」が4の倍数でしか指定できません。細かく指定できるようにしたいのですが。

A:「圧縮」にある「ビデオ入力と同じ」のチェックを外すと、2の倍数まで指定できるようになります。
  ただし、2の倍数よりも4の倍数にするほうが、4の倍数にするよりも8の倍数にするほうが、
  そして8の倍数にするよりも16の倍数にするほうが、好ましいといわれています。
  ヘルプに載っておらずウェブ検索で得ただけの知識なので、説明できるほどわかっていませんが。


Q:おすすめの設定教えてください!

A:環境や配信対象などを書いてくれないと答えようがない、と言いたいところですが、
  実は、WMEの初期状態に選択されている設定のまま配信してもそれほど問題ありません。

  ですが、「ビデオサイズ」が小さいからと、「フレームレート」29.97fps、
  「ビデオビットレート」241Kbpsのまま、「ビデオサイズ」を上げることは、
  フレームの欠落が避けられなくなるため、やめておくべきです。
  「フレームレート」を半分にするか、「ビデオビットレート」を倍にすることで、
  「ビデオサイズ」を320x240から、448x336程度まで上げられます。


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エンコードに関する知識、情報など

しっかり知りたい人向け。Q&Aよりもこちらのほうが読んでいてためになると思います。
ですがそれでも、WMEのヘルプを熟読した人にとって目新しい情報はほとんどありません。


《よい配信の基本》

●接続が安定してできること。
●配信者側の回線速度不足やパソコン性能不足によるバッファを起こさないこと。
●取り込み範囲や縦横比が正常であること、文字がつぶれていないこと。
●音割れを起こさず、なおかつ適切な音量バランスで聴こえていること。
●フレームの欠落が発生していないこと。

上から順に重要です。
「ビデオサイズ」を縮小する場合は、文字がつぶれてしまわない程度に。
フレームを削減する場合は、低くしすぎて状況がわからなくなってしまわない程度に。
「ビデオビットレート」を削減する場合は、「欠落したフレーム」が出てしまわない程度に。

ビットレートと回線速度の細い視聴者を意識できるようになると、さらによいです。


《画質》

「ビデオビットレート」だけが画質に直結するわけではありません。
わかりやすくするために簡単な説明になりますが、
「ビデオの滑らかさ」50、「コーデック」Windows Media Video 9、を前提に考えると、
用意された「ビデオビットレート」は、「ビデオサイズ」と「フレームレート」と画質が
奪い合うことになります。
これは言い換えると、「ビデオビットレート」を上げなくても
「ビデオサイズ」や「フレームレート」を小さくすることでも画質はいくらか上がるのです。
また、もしビットレートに余裕があるのなら、「ビデオビットレート」は
足りるか足りないかわからないくらいよりは、少し多めに割いておいたほうがいいです。
余った「ビデオビットレート」は画質に回されるので、無駄にはなりません。


《パフォーマンスの効果》

パフォーマンスや配信形式(例:wmvとflv)などの画質にかかわる設定は、
元のビットレートが低いほど効果を実感できます。
「ビデオビットレート」に+100Kbpsされる、と例えればわかりやすいでしょうか。
100Kbpsが200Kbpsになることは違いを感じられますが、1100Kbpsが1200Kbpsになっても
違いはほとんど感じられません。
そのため、これらは低ビットレートでやりくりしたい人に真価を発揮します。

代償として、パフォーマンスを高品質寄りにしていくごとにCPUへの負荷が増大します。
体感では、メモリを一つ動かすごとに「+0 → +1 → +2 → +4 → +8 → +16」と負荷が倍増していく
印象です。
また、+0 → +1 のときの変化よりも +8 → +16 のときの変化のほうが画質向上効果が大きいということは
ないと思います。

余談ですが、「出力」タブの下にある項目が、
「ファイルへ保存」と書かれていれば「ブロードキャスト時」を参照し、
「ファイルにエンコード」と書かれていれば「ファイルへのエンコード時」を参照します。
さらに脱線すると、パフォーマンスは、ビデオコーデックが「Windows Media Video 9」でないと
有効になりません。

またさらに脱線。ヘルプには「Windows Media Video 8.1」でも有効とありますが、
私の環境では「Windows Media Video 8.1」という選択肢がなく、さらに
「Windows Media Video 8.1」に関する情報がほとんどないのでわかりません。
少なくとも「Windows Media Video V8」では有効になりません。


《「ビデオサイズ」と「フレームレート」の共通点》

「ビデオサイズ」も「フレームレート」も、
「ビデオビットレート」とパソコンの性能を求めています。

「ビデオサイズ」も「フレームレート」も、大きくなればなるほど、より多くの
「ビデオビットレート」とパソコンの性能を求めます。

「ビデオビットレート」かパソコンの性能のどちらかが足りない場合、
動画の品質は大きく落ちてしまいます。


《「ビデオの滑らかさ」について》

「ビデオの滑らかさ」は、「ビデオビットレート」が足りない場合に
「画質を落とすか(フレーム維持)」「フレームを落とすか(画質維持)」の
優先度を決める項目です。
画質を落とす、フレームを落とす、どちらもよくない状況なので、この項目は
中間点である50から変える必要は基本的にありません。
「ビデオビットレート」を十分に用意して、変える必要のない設定を組むべきです。

ですが、「ビデオビットレート」を十分に用意した上で、万が一の一時的なフレーム欠落への対策として
テストではない実際の配信時に限り、「ビデオの滑らかさ」を50未満にしておくというのはよい考えです。


《「バッファサイズ」について》

簡単に説明すると、これは動画を送信する前にエンコーダが動画情報を
反芻する秒数になります。この値を大きくすると、動画の品質が少し上がります。
(多分、バッファサイズ内でABR的な処理をしているのだと思います。WMEは完全なCBRにはなりません)

ですが動画情報を反芻するため、設定した秒数だけ送信に余計な時間がかかり、結果
視聴者とのずれが大きくなってしまいます。
品質が高まるとはいえ、配信は鮮度が命なので考えなしにこの値を大きくするのは考えものです。

ところで、「回線の細い人は『バッファサイズ』を大きくしたほうがいい」という情報を
見たことがあります。
ですが、私にはその意味がよくわかりませんでした。
回線速度が明らかに足りていない場合には無意味だと思いますが、
その一方で、回線速度が不安定な場合には有効な手段だと思います。


《動画のカクカク改善》

できる限り、「フレームレート」と「平均fps」の値が近くなるようにすることが重要です。
「フレームレート」30fps → 「平均fps」20fpsよりも、
「フレームレート」15fps → 「平均fps」15fpsのほうが見やすいことが多いです。
「フレームレート」と比べて「平均fps」が90%以下しか出ていないようなら、
設定を見直すべきです(例:設定30fpsなら27fps)。もちろん100%が理想ですが。
「フレームレート」の値を変えて改善を試みる際、値を大きくするのではなく
小さくすべきということに注意します。
大きくすると、「フレームレート」と「平均fps」の差が広がり、
さらにカクカクを感じてしまいます。

ちなみに、「欠落したフレーム」を見ることは効果的とは言えません。重要なのは割合です。
「フレームの合計」が200で、そのうち「欠落したフレーム」が100だと
全体の50%も欠落していることになりますが、
「フレームの合計」が20000で、そのうち「欠落したフレーム」が100だと
全体の0.5%しか欠落していないことになります。

さて、「平均fps」が下がってしまう主な原因は、
「ビットレート不足」と「スペック不足」の2種類があります。

前者なら、主に以下のことをすれば改善が期待できます。
●「ビデオサイズ」を小さい値にする
●「フレームレート」を小さい値にする
●「ビデオビットレート」を大きい値にする
●「ビデオの滑らかさ」を小さい値にする

後者なら、主に以下のことをすれば改善が期待できます。
●より高性能なパソコンに変える
●よりパソコンへの負荷が少ないエンコード設定にする
●不要なアプリケーションを終了させる
●その他、ゲームの設定を変えるなどしてパソコンへの負荷をできる限り減らす

原因がどちらにあるかは、
「欠落したフレーム」が出て「平均fps」も下がったなら前者、
「欠落したフレーム」は出ていないのに「平均fps」が下がったなら後者、
と判断できます。
(後者についてはほかにも考えられることがいくつかあるのですが、私自身が
 そのすべてについて言及できるほど詳しくないので省略します)


《ほかのものが映らない問題(Windows Aero)》

配信者にとって、「Windows Aero」は天敵です。
これが有効になっている状態で、範囲指定取り込みではなく
ウィンドウ取り込み(「Drag here.」)をすると、当該ウィンドウ以外が映らなくなります。
(これに対しては、SCFH DSFの「レーヤードウィンドウ表示」は関係ありません)

突然変なウィンドウが前に出ても映らないという意味では安全でもあるのですが、
ゲーム画面とメモ帳や字幕を重ねて配信している人や、ちょっとウェブブラウザを見せたいというときには、
少し面倒臭いと感じるかもしれません。

すでに書いているのでおわかりかと思いますが、対処法としては以下の2種類があります。
●「Windows Aero」を無効にする
●ウィンドウ取り込みではなく範囲選択取り込みにする
このうち、「『Windows Aero』を無効にする」については、Windows 8以降では困難です。
また、「ウィンドウ取り込みではなく範囲選択取り込みにする」については、環境によって
fpsが落ちて、動画のカクカクにつながることがあります。

つまるところ、Windows 7のパソコンを買って、またはWindows 7のパソコンを修理して、
Windows 7のパソコンでAeroを無効にする、というのが一番いい対処法です。
それができなければ、fps低下を覚悟して範囲選択取り込みにするしかありません。


《SCFH DSFメモ》

●ウィンドウ指定取り込み(「Drag here.」)だと、余計な範囲まで取り込んでしまって
 (例:ウェブページに埋め込まれたブラウザゲームだけ取り込みたいのにウィンドウ全体を取り込む)
 範囲選択取り込みにしないといけないという場面があります。
 ですが、Aeroに冒されているパソコンだと、範囲指定取り込みは避けたいところです。
 そんなときは、まずウィンドウ指定で余計な範囲も一緒に大きく取り込み、その後「レイアウト」を見ながら
 SCFH DSFの「範囲」から手入力してトリミングすることで、結果的に範囲取り込みと同じことができ、
 なおかつAeroにじゃまされることのない高いfpsでエンコードできるようになります。

●SCFH DSFは、パソコンでメインにしているディスプレイの解像度以上のサイズは取り込めません。
 例えば、メインディスプレイ1920x1080にサブディスプレイ1024x768があっても2944x1080は
 映せませんし、メインディスプレイ1024x768にサブディスプレイ1920x1080という構成だと、
 縦幅768を超えるウィンドウはサブディスプレイに映してもちゃんと取り込むことはできません。
 対象ウィンドウの下部が犠牲になり、SCFH DSFはそのぶん縦に引き延ばす、または
 上下に黒枠が入った状態(「アスペクト比維持」有効時)で映し出します。
 ちなみに、SCFH DSFを使わず、WMEのソース → ビデオ → 「画面の取り込み」なら
 メインディスプレイ1024x768にサブディスプレイ1920x1080でも全く問題ないので、原因があるのは
 SCFH DSFで確定です。


《キーフレームについて》

フレームは基本的に、直前のフレームと違いのある部分だけを更新するようになっています。
こうすることで更新する部分を減らし、必要とするビットレートを減らしています。
(このときのフレームをデルタフレームと呼びます)
ですが、デルタフレームだけでは少しずつ画面が汚くなっていきます。
それに対して、前の情報を使い回さないフレームであるキーフレームがあります。
あなたが経験豊富であったり、配信視聴暦の長い人なら、ストップウォッチやメモ帳などの字に
跡のようなものが残ることを見たことがあるかもしれません。
これらが残る原因はデルタフレームであり、それが一時的に消えるタイミングもキーフレームが入るときです。
画面や色などがひどく崩れてしまったときにも、キーフレームが入れば直ります。
車におけるワイパーのようなものでしょうか。
余談ですが、動きのない画面をエンコードしていると、「モニタパネル」の「統計」タブにある
「現在のビットレート」の数値は極めて低い値を示しますが、それでもたまに一瞬だけ
「現在のビットレート」の数値が高くなります。まさにその瞬間に
キーフレームが入っているのです。

デルタフレームは直前のフレームと違いのある部分だけを更新しますが、それは言い換えると
直前のフレームを持っていない場合は何もできないということを意味します。
配信に接続した直後の数秒間に映像が映らないのはこのせいです。
また、デスクトップの描写が一時的に止まって配信画面が一時的に
消えたとき(例:ユーザーアカウント制御)にも同様に、
キーフレームが入るタイミングを待つことになります。
このように、キーフレームの存在は偉大なものとなっています。

ならば「キーフレームの間隔」の数値を小さくして頻繁にキーフレームを入れたらいい、
あるいはすべてキーフレームにしたらいい、とあなたは考えるかもしれません。ですが、その
前の情報を使い回さないフレームは、デルタフレームよりも多くの「ビデオビットレート」を使います。
そのため、キーフレームを入れすぎると「ビデオビットレート」を使いすぎることで、
キーフレームが入っていないときの画質が落ちたり、ひどい場合には
フレームの欠落が発生してしまいかねません。


《ビデオビットレートの目安》

適切なビデオビットレートは配信対象によって異なるということは言うまでもありませんが、
最低限必要なビデオビットレートとしては、
「画素数×フレームレート÷10000」で単位をKbpsにしたものを当てはめることは、
とても簡単に計算できる一つの目安になれるかもしれません。

ですが、キーフレームとデルタフレームの存在があるので、実際はうまく計算が合わないこともあります。
キーフレームはフレーム単位ではなく時間単位で入るので、例えば
「10fps→20fps」で2倍のビデオビットレートが必要になるというわけではありません。
フレームレートが多いほどキーフレームの割合が減ってデルタフレームの活躍する場が多くなるので、
「10fps→20fps」のときよりも「20fps→30fps」のときのほうが
増やすべきビデオビットレートは少ないです。

さらに、(これは知識不足のためにうまく説明できませんが)解像度についても、小さい画素数のほうが
上記の式に対して必要なビデオビットレートはやや多くなるようです。
具体例としては、「640x480の600Kbps」よりも「320x240の150Kbps」のほうが低画質になります。
「640x480の300Kbps」が「320x240の150Kbps」と同じくらいになるでしょうか?

そのため、「画素数×フレームレート÷10000」の計算式は使わないか、使うとしても
●ほんの参考程度に留める
●計算結果が小さい値であるほど、多めのビットレートを割く
ということに気をつける必要があります。


《オーバーヘッドの一覧》

必要となるオーバーヘッドの大きさは、合計ビットレートによって変わります。

オーバーヘッド 合計ビットレート(オーバーヘッド込み)
3Kbps 16000bps(19000bps)
4Kbps 16001bps(20001bps) 30000bps(34000bps)
5Kbps 30001bps(35001bps) 45000bps(50000bps)
6Kbps 45001bps(51001bps) 70000bps(76000bps)
7Kbps 70001bps(77001bps) 224999bps(231999bps)
9Kbps 225000bps(234000bps)
ビデオのないラジオ配信なら話は別ですが、多くのビットレートを必要とするビデオあり配信が前提なら、 ビデオビットレート+オーディオビットレートが225Kbps未満ならビットレートが少し節約できる、 とだけ覚えればOKです。 コーデックを変えたり、オーディオを消してビデオのみの状態にしたりしても同じなので、 どの条件でもこうなるかと思います。 通常利用で見かけることはありませんが、合計ビットレートが2147483647bpsを超えると、 オーバーフローしてマイナスになるというバグがあります。 WMEの合計ビットレートがオーバーフローするバグ1 WMEの合計ビットレートがオーバーフローするバグ2 《プロセスの優先度について》 性能の低いパソコンで配信する場合にwmenc.exeの優先度を上げることは、 一つの手段として確かにあります。 ですが優先度は相対的なものなので、一つのプログラムの優先度を上げると、ほかのプログラムの 動作が鈍くなってしまいます。そのため、上げずに済むのなら上げないほうがいいです。 もしCPU使用率が常に100%になっているのなら、優先度を上げるのではなく配信設定を見直すべきです。 ヘルプにもこのように記載されています。
一般的に、CPU の負荷 (モニタ パネルの [全般] タブに表示されます) が 継続的に 80% 以上になる場合は、コンピュータのアップグレードを検討する必要があります。
ちなみに、優先度を上げる場合はキャプチャーソフトやパソコンゲームの配信対象も 一緒に上げたほうがいいです。ゲームの動作が鈍くなってしまっては、 せっかくWMEの優先度を上げても意味がありません。 《テストの目的を持つ》 テストする際、きちんと目的を持たないと非効率的になったり、テストの途中で 自分が一体何のためにしているのかよくわからなくなってしまうことがあります。 品質と負荷は近い関係にあることが多いですが、それでも 品質に関するテストなのか、負荷に関するテストなのかをしっかり意識しておかなければ いけません。 例えば品質の比較なら、あえてフレームの欠落を多く発生させる設定にすると 違いがわかりやすくなり、テストが楽になります。 この場合は例えばビットレートを落とすといいですね。 《もっと配信に関する知識がほしい》 WMEのヘルプを熟読しましょう。いろいろ載っています。 《メモ》
設定箇所 設定値
ビデオ サイズ 240x160
フレーム レート 60fps
キー フレームの間隔 20秒
ビデオ ビット レート 192.999Kbps
バッファ サイズ 3秒
ビデオの滑らかさ 50
パフォーマンス 100(CPUは問題なし)
この設定で、ネットサル(エミュレータ)でピッチの外から50秒間カメラを回す。 逆斜め下入力による高速回転。
ピッチ 欠落fps/合計fps
スタジアム 433/3049
北極 962/3023
地下帝国 0/3011
宇宙 1601/3002
海底都市 0/3007
海賊の島 833/3006
砂漠 0/3008
火吹き山 988/3005
サンダーランド 0/3004
最もフレーム欠落が発生しやすいピッチは宇宙だった。 宇宙でもう少し試行すると、23fpsでも欠落あり、22fpsでは5分間回しても欠落なし。 ビデオサイズを480x320にすると、7fpsでも欠落あり、6fpsでは5分間回しても欠落なし。 キーフレームの差はあるだろうけど、おおむね 240x160の22fps = 480x320の6fps ということがわかる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 設定例 《想定環境》 ビデオキャプチャーボード+レトロゲーム配信。動きは少なめ。 具体的にはトルネコ1やシレンGBなどの配信です。 レトロゲームなので滑らかさはあまり必要なくて、文字が読み取りやすいよう画質を重視したい。 キャプチャーソフトには、黒枠込みで720x480の画面が出力されるものとします。 (GV-USBがこうだったので) 上り回線速度は400Kbpsあるかどうかという程度のADSL。リレーを前提とした@1配信。 もちろん400Kbps丸々使っていいわけではありません。余裕を残すほうがいいです。 CPUは十分。大体Intel Core 2 Duoの2.00GHzくらい? 《ビデオコーデック》 Windows Media Video 9 ビデオサイズやフレームレートは低負荷のそれになっているので、V7にしたくなることは少ないと思います。 《オーディオ形式》 32 Kbps, 32 kHz, 2 channel 16 bit CBR 「Windows Media Audio 9.2よりもWindows Media Audio 10 Professionalのほうが高音質」 という話を聞いたのでこれに。 合計ビットレートに対してオーディオビットレートの割合が高いですが、 Windows Media Audio 10 Professionalの中で選べる最低値がこの32Kbpsなので仕方ありません。 《ビデオビットレート》 192.999Kbps オーディオビットレートを32Kbpsとした場合に、オーバーヘッドが7Kbpsで収まるぎりぎりの値がこれです。 すべて合わせた合計ビットレートは231.999Kbpsです。 上り回線速度を400Kbpsぴったりとすると、割合は57.99975%ですね。 《ビデオサイズ》 320x240(※「ビデオ入力と同じ」にチェックを入れる) キャプチャーソフトで出力された720x480の画面からクロップして640x448にして、 それをSCFH DSFで取り込みます。50%縮小ですね。320x224。 320x16が余りますが、その部分には等倍のメモ帳を映します。メモ帳は等倍ですよ。 メモ帳が必要なければ、ビデオサイズ自体を320x224にしてもいいです。240も224も、16の倍数です。 お好みでどうぞ。 《フレームレート》 10fps トルネコ1やシレンGBなどなら激しい動きがないおかげで10fpsでも見えるので、画質を優先します。 これが例えばネットサルになると、10fpsではかなり厳しくなります。画質を犠牲にしてでも 15fpsくらいまで上げるほうがいいです。 そうなると画質以上に負荷が怪しいので、パフォーマンス設定の品質を落とさざるを得なくて、 画質がさらに落ちることになりますが、ほかに削れる部分もありませんから仕方ないです。 ゲームの性質的にフレームレートがもっとほしいとしても我慢しましょう。 画質とのバランスを考えると、この上り回線速度やビットレートでは15fpsが限界です。 《キーフレームの間隔》 20秒 ヘルプに載っている値と同じ秒数です。 ビットレートが限られているので、キーフレームにはあまりビットレートを割きたくないです。 それに動きの少ないゲームですし。 ですが、配信に接続した直後の視聴者は、真っ暗な画面を最長20秒間見ることになります。 初期値である8秒にするのもありです。それくらいの余裕はあります。 《バッファサイズ》 5秒(既定値は使用しない) 初期値と同じです。 ビデオビットレートが低いので、ここを小さくしすぎると画質がさらに悪くなってしまいます。 ですが、配信ということを考えるとあまり大きな数値にもしたくないのが悩ましいです。 既定値(3秒)にするのもありです。それくらいの余裕はあります。 《ビデオの滑らかさ》 0 カクカクするくらいなら画質が落ちるほうがましです。 もちろんエンコードテスト時は50でします。ここで0にするのは保険です。 《デコーダの複雑さ》 自動 私には画質の違いがわかりませんでした。 《スクリプトビットレート》 私には使いこなせないように思いました。 《パフォーマンス設定》 100 一番右です。もとが低ビットレートに合わせた低負荷な設定なので、パソコンの性能次第では100でも 配信が可能です。 ビットレートが低いので、パフォーマンス設定による影響も大きいです。 CPU性能が足りない場合、ビデオコーデックやビデオサイズではなくまず真っ先にここの設定を変えます。 一段回左……80にするだけでも負荷は大きく減ります。 《その他》 SCFH DSFの縮小方法はSoftware(bilinear)にします。縮小しても文字が比較的読みやすくなります。 SCHF DSFのオーバーサンプリングは使いません。画質が落ちてしまいます。 この例のエンコーダ セッション ファイル。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 配信テスト 実はどちらもほとんど同じです。 《「ファイルにエンコード」での確認》 ポート開放の確認にはなりません。 映像や音声の圧縮具合を確認できます。つまり、文字がつぶれていないか確認できます。 ファイルとして保存できます。 《動画再生プレイヤー「localhost:xxxx」「127.0.0.1:xxxx」での確認》 ポート開放の確認にはなりません。 映像や音声の圧縮具合を確認できます。つまり、文字がつぶれていないか確認できます。 配信の遅延がわかります。 どちらもポート開放、回線速度(バッファ)の確認にはならないという点には注意です。 ですがそれでも、動画の品質に関する確認のほとんどは一人で済ませられますし、ポート開放の確認も ポートスキャンしてくれるウェブサイトを探せば済みます。 ほかの人に接続してもらって確認してもらう必要があるのは、特殊な環境での配信を除くと、 接続が安定するかどうか、バッファの確認くらいではないでしょうか。 一人で確認できることをわざわざ配信テストすると、怠け者と怒られてしまいますよ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 視聴者はよ配信 よく見るので。 Q:やり方がわからないから配信できないよ。 A:●WMEとSCFH DSFを入れて起動します。   ●WMEの「ユーザー設定のセッション」を選び、入力ソースビデオに「SCFH DSF」を選びます。   ●出力の「サーバーにプッシュ」にチェックを入れ、PUSH配信に対応している鏡置き場で    接続の空いているURLを「サーバー名」に入れ、「公開ポイント」は適当に入力します。   ●鏡置き場を「Push配信」で設定し、「エンコードの開始」を押し、先ほどWMEに入力した    鏡置き場のURLを伝えます。   これで配信できます。SCFH DSFはなくても配信できます。 Q:プレイ下手だから配信できないよ。 A:下手なほうが先の展開が読めず、見応えもあるというものです。   「プレイのうまい=配信の楽しさ」ではありませんし、   そも楽しませる配信をしなければならないということもありません。 Q:マイクがないから配信できないよ。 Q:ステレオミキサー入ってないからゲーム音とマイク音の両立ができないよ。 A:ラジオ配信はともかく、ゲーム配信ならマイクは不必要です。 Q:キャプチャーボード持ってないから配信できないよ。 A:パソコンゲームならキャプチャーボードは不要です。 Q:このパソコン性能低いから配信できないよ。 A:●「ビデオサイズ」を下げる(モンスターや文字など必要なものさえ見えれば320x240でも十分)   ●「フレームレート」を下げる(15fpsで十分。内容によっては10fpsでも)   ●パフォーマンスをもっとも高性能にする、ビデオコーデックをV7にする(どちらか)   ●フレームが欠落しない程度に「ビデオビットレート」を下げる(※)   ●オーディオ形式をモノラルにする(※)   ●オーディオビットレートを下げる(※)   ●ビデオパネルを閉じる   ●余計なプログラムを終了させる(メモリ不足にも効果あり)   ●ゲームの設定を変えて軽くする   ●KoToEncoderを使う   このあたりを試してもだめなら、パソコンを買い換えたほうがいいんじゃないでしょうか。   ネットサーフィンや配信視聴すら満足にできないと思います。   パソコンの性能が極端に低い場合、「高品質の設定でテスト→×→徐々に品質を下げていく」ではなく   「極端に低品質の設定でテスト→○→徐々に品質を上げていく」というやり方のほうが   テストしやすいかもしれません。少なくとも私はそうです。   (※)   効果はあると言われていますが、自分では未確認です。 Q:回線細いから配信できないよ。 A:現代は鏡置き場という神様がいるので、インターネットへの接続さえ安定していれば   ほとんど問題ありません。   レトロゲームなら「ビデオビットレート」は100Kbpsを超えていればとりあえず   最低限は問題ないと思うので、安定して200Kbps出ていれば品質はともかく配信できます(※)。   (※)   「ビデオビットレート」は、極端に低くすると圧縮の手間が大きくなり、   パソコンへの負荷が大きくなると言われています。そのため、   「ビデオビットレート」を100Kbps以下にすることはおすすめできないかもしれません。   自分では未確認ですが……。 Q:ポート開放できないから配信できないよ。 A:Push配信に対応している鏡置き場を使えばポートを開かなくても配信できます。   また、鏡してくれる人を募集するという手もあります。 Q:まだわからない点があるから配信できないよ。 A:遠慮なく聞けばいいと思います。 Q:やる気がないから配信できないよ。 A:なら仕方ない。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ おこしやすネットサルその他トップ>このページ